M o v i e
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ゴールド劇場で上映している映画『バビロンの陽光』観てきました。 簡単にいえばおばあちゃんと孫のロードムービーなんですけど、そのロードムービーの舞台はフセイン政権が崩壊して3週間後のイラクです。 おばあちゃんと孫はクルド人で、父親が12年前の1991年に家を出て以来、南部のナリシア刑務所に収監されているというので、はるばる砂漠を超えて北部のクルディスタン地域からバグダッドを超えてナリシア刑務所まで、父親に会いに行くのです。 1991年といえば湾岸戦争があり、この映画の舞台はイラク戦争直後のイラク国内なのですが、主人公は軍人でもジャーナリストでもなく、ただ身内を捜して旅をする祖母と孫で、イラクに住むごく一般の人です。 主人公の祖母はクルド語しか話せないのでバグダッドでは言葉が通じず、孫の覚えたアラビア語が頼りです。 唯一、クルド語が通じる人に出会いますが、その人がなぜクルド語が出来るのかという事には理由があります。 町の外は砂漠が広がり、町は戦争の痕が残っていて、車はすぐ故障して、空を米軍のヘリが飛んでいく・・・という、インディペンデント映画でありながら、十二分に印象的な画面になっています。 父親ははたして無事なのか、ナシリア刑務所には何があったのか、これからイラクはどうなっていくのか・・・と考えながら前半を見ていましたが、後半には更に印象的な場面が出てきます。 これを撮ったのがイラク出身監督で、実際にイラク国内で撮影していて、祖母も孫も役者でなく一般人で、しかも祖母の役の方は現実に同じような境遇にあっているそうです。 これこそ、映画の中の映画だなと。 ラストシーンはとにかく泣けます。 戦争映画でないのですが、戦争映画以上に心が痛みます。 |