M o v i e
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「コクリコ坂から」観ました。 スタジオジブリの新作アニメ映画で、監督は宮崎駿の息子さんです。 舞台は1963年の横浜、主人公の松崎海は、高2でありながら横浜の海が見渡せる老舗のアパート「コクリコ荘」を一手に任されている少女という設定です。 海は、海に出たまま帰ってこない父親を想って毎日海に向かって旗を上げているという健気な娘ですが、とある事がきっかけである日、同じ学校の風間俊という男子に惹かれていきます。 とまあ序盤はよくある少女漫画でしたが、全体に漂う昭和感とか、横浜の海と陸とちょっとした下町の風景の景色がとにかく綺麗なのと、沢山出てくる船の作画が素晴らしく、観ごたえがありました。 ところで、この映画の舞台となった1963年といえば、東京オリンピックの前の年であるのですが、それよりも気になったのは「カルチェ・ラタン」です。 1960年に安保闘争があり、1963年というのは学生運動がどんどん過熱してった頃のようです。 そしてこのこの映画の時代より後、1968年に東大紛争で東大安田講堂事件が起きているのですが、それを受けて明治大学・中央大学・日本大学の全共闘が明大通り一帯をバリケード封鎖した事件を「神田カルチェ・ラタン闘争」というそうです。 海達が建て替えに反対した港南学園の「カルチェラタン」の元になっているのはおそらく・・・ 村上龍の「69 sixty nine」では1969年に長崎県佐世保市の学校をバリケード封鎖していますが、さすがジブリ、こんなキナ臭い時代も見事にファンタジーになっています。 かつて「千と千尋の神隠し」では台湾の「九フン」がモデルの一つになっていて、イマジネーションを膨らませてあの温泉旅館のデザインが出来ていったらしいです。 ま、それはそれとして「千と千尋の神隠し」の旅館というのは実際は娼館の暗喩(湯女風呂)であり、千尋はそこで丁稚奉公として働かされる事で社会とは何かを学び、成長していくという、粋なテーマがあったのですが、今回のカルチェラタンもまた、暗喩として「安田講堂」があり、(思い出補正でかなり美化してるものの、)あの頃の学生運動とはなんだったのか・・・というテーマがるように思います。 もうひとつは「1963年に毎朝旗を上げる少女」という設定を見て真っ先に思い浮かぶのは村上春樹の「ノルウェイの森」 主人公がいた寮では毎朝6時になると必ず寮の中庭に日の丸を上げる寮長と学生が出てきます。 周りが学生運動に騒いでいる時に国旗を上げる保守的な人がいるという珍しい光景だった・・・という感じの主人公の昔話で出てきます。 この時代も1969年でした。 こちらは、実際はどうか知りませんがなんとなくインスパイアされてそうな気がします。 ついでに書くと「トトロ」のさつきとメイの名前は村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」に出てくる「笠原メイ」から取ったのではないかと個人的には思っているのですが、こちらの根拠は全く何もないです。 ・・・なんとなく空気感というか。考えすぎでしょうか。 ☆参考資料 [wiki千と千尋の神隠し ] [wikiカルチェラタン] [何を見ても何かを思いだす(笠原メイつながり)] |